タフ・ネゴシエーター

日野店スタッフ「Y」です。本日はおすすめなコミック「勇午」シリーズ/ 赤名修 [小学館]をご紹介します。

この作品は交渉人が主人公のお話しです。

この「交渉人」とは、銀行に立てこもっている強盗に「お前のお母さんは泣いているぞ!」と拡声器で訴えるようなものではなく、思想的、政治的、民族的に対立しているところで発生した問題を解決に導くような人を指します。だから、感覚的には探偵ものに近い感じでも読めます。

さて、この主人公、例えばパレスチナ問題のような、根が深すぎて、こんがらがりすぎて、もうどうしようない問題に対して「根性」で立ち向かいます。
もちろん、その根性の土台にはそれなりの理論武装がありはするんですけれども、大問題にあたるには、やっぱり人並み外れた根性(カッコよく言い換えれば「信念」)が必要なんだろうな、と思います。行き過ぎた根性論は困りものですけれどもね。
といった内容の作品ですので、どうしてもお話しが複雑になりがちなのは否めません。しかし、そんな「勇午」シリーズの中でも、日本が秘密裏に核武装を計画するというテーマの「横浜・横須賀編」は、比較的お話しがわかりやすい上に、私たち日本人にとても良い課題を突きつけてくれるものとなっています。


日本人、とりわけ被爆地長崎で育った私たちは特に、核兵器に対する思いをそれぞれ深く持ってきたことでしょう。そうして大人になった今、核兵器がいまだ脅威として存在するこの世界について、改めて考えなおしてみるきっかけとして、この「勇午 横浜・横須賀編」をおすすめします。

ちなみに私個人は、この作品の結論には反対です。しかし、それでもこの作品は、読者に大きな示唆を与えてくれるものであることは間違いありません。
なお、この「勇午」シリーズは、途中から読み始めても、わりと分かるように丁寧に作られています。「横浜・横須賀編」に限らず、気になったところから読んでみてください。
さて、ここからは余談ですが、みなさんはウィリアム・ユーリーという実在の交渉人をご存じでしょうか?
ハーバード大学の交渉ネットワーク研究所長であるウィリアム・ユーリーは、世界中の紛争の仲介者として数多くの交渉にあたった人で、大ヒット書籍「ハーバード流交渉術」の著者としても有名です。

そして、その彼の講演の動画がネットで配信されているのですが、これがとても面白いのです(このリンク先のページでご覧いただけます)。


柔和な表情で話すその内容は、本当に困難な問題に実際に取り組み続けてきたからこそ言える、力強いメッセージとなってます。これもよかったら是非ご覧ください。特に最後あたりは感動ものですよ。

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