善悪の境界の危うさを描く衝撃作「ボーダーライン」

本作「ボーダーライン」は、アメリカの超法規的部隊とメキシコの麻薬カルテル(麻薬の製造や密売などを行う違法組織)との戦いをリアルに描いた作品です。

メキシコの一部では麻薬カルテルが地域を暴力によって支配しており、カルテル同士やメキシコ当局との間で、一般市民を巻き込んだ戦闘が日常的に行われています。またカルテルが取引する麻薬は隣接するアメリカへ大量に流入しているため、アメリカ側の当局もカルテル撲滅を狙った活動を実施しています。さらにメキシコ当局側の警察や軍隊の中にカルテルの息がかかった者が多数いるなどと混迷を極めており、その状況は「メキシコ麻薬戦争」と呼ばれています。

そして、そんなシャレにならない世界を描いているのが本作というわけです。

この映画の見所はたくさんありますが、冒頭でのメキシコ警察が捕まえたカルテルメンバーをアメリカに移送するシーンのすさまじい緊迫感に、まずはやられることでしょう。

そしてラストの主人公の行動にも度肝を抜かれます。

正義とは何か。善悪とは何か。この作品を見た後は誰もがそれに答えることができなくなってしまうことでしょう。